【事例紹介】世界を舞台に、自動車業界を突き動かす人材を育成する。アドヴィックスのロボットコンテスト活用方法とは

本投稿は、ETロボコン参加チーム (株式会社アドヴィックス)による活用事例のご紹介です。

自動車産業は大変革を迎えており、自動運転などの研究開発が活発に行われています。日本でも自動運転システムを搭載した自動車の開発が進められていますが、クルマの安全性や快適性を向上させるために重要な役割を担うブレーキにも大きな革新が訪れており、世界を視野に活躍できる優秀なエンジニアが必要とされています。
今回は、世界トップレベルのブレーキシステムを供給する株式会社アドヴィックス(以下、アドヴィックス)の、ETロボコンを活用した人材育成についてご紹介します。
世界をリードするエンジニアの育成を目的としたロボットコンテスト「ETロボコン」に2006年より参加しており、10回のチャンピオンシップ大会出場、4回の総合優勝を成し遂げています。また、大会の趣旨に賛同し、スポンサーとして大会そのものを支援されています。長年にわたり若手社員の有志で参加している活動が、会社や社員にどのような効果をもたらしているのか、アドヴィックスでETロボコン活動に参加する飯田 隆太郎さんにお話をお伺いしました。

エンジニアの「こだわり」や「情熱」を大切に

アドヴィックスは、2001年にアイシン精機株式会社、株式会社デンソー、住友電気工業株式会社、トヨタ自動車株式会社の合弁会社として、電子制御ブレーキからパッドまでの開発を手がける世界でただひとつのブレーキシステムサプライヤーとして誕生し、2021年に20周年を迎えました。同社は、日本で生産される車の2台に1台、世界で生産される車の10台に1台に搭載されるブレーキシステムを提供しており、同社が開発したビルドアップ基板は世界標準になっています。
2021年7月、ETロボコン2021 参加校・スポンサー企業オンライン交流会が開催され、アドヴィックスはスポンサー企業として参加。これは、ロボコンに取り組む学生がキャリアについて考えるきっかけづくりを目的にしており、当社は、以下の3つの素質をエンジニアに求めていると紹介しました。

1.時流に先んじること
  ・人よりも早く手を打ち、先頭を切ってやる
  ・トレンドを先取りし、新たなことに挑戦できる気概を持つ

2.競合に負けないこと
  ・チャレンジ精神
  ・ひと味違う、他社と差別化された技術・製品で勝負する

3.どうせやるなら世界にお手本を
  ・世界にお手本を示すもの(世界標準)を生み出し、世界へ貢献しよう

エンジニアとしてのこだわりを持ち、人と違う何かを生み出したい、やってみたい、という気持ちがエンジニアを成長させているようです。そういった気持ちを育てるとともに、技術を身につけるのに一役買っているのが、「ETロボコン」だと飯田さんは話します。

2021年チャンピオンシップ大会

ETロボコンとエンジニア育成の相性が良い3つの理由

アドヴィックスでは、モノづくりの基本となる技術(プロジェクト・マネジメントやエンジニアリング等)を短い期間で効果的に学び、ブレーキシステム開発という実践の場に活かせる若手エンジニアの育成を目的とし、ETロボコンに参加しています。
その歴史を紐解くと、2006年に社員の有志5人が初めて参加し、翌年には会社支援の自己啓発活動となり、2021年に至るまで16年もの間、志望者で構成されたメンバーで活動しているそうです。
飯田さんは、「ETロボコンを通してメンバーは、モデリング技術を習得し、考え抜く力を磨き、チャレンジ精神や高いレベルで競い合うたくましさを養い、経験を積み重ねて豊かな対応力を身に付ける。そして、個々の成⾧を通してアドヴィックスの成⾧に貢献したい」と言います。

なぜETロボコンが人材育成に有効なのか、以下の3点を教えていただきました。
一つ目は、失敗体験ができることです。量産業務では失敗できないけど、ETロボコンはリスクなくチャレンジできるとのことです。
二つ目は、テクニカルスキルが身につくことです。会社では分業が多いため、設計・実装・テストのすべてに携わることができませんが、ETロボコンでは一連の工程が体験できるとのことです。
三つ目は、最新技術に触れられることです。画像処理やAI、クラウド、シミュレータ等、実業務では触れることがないような技術や知識が得られるとのことです。

他にも、他部署や過去ETロボコンに参加していたOBとのつながりが強くなり、ETロボコンの活動をするうえでの様々なサポートはもちろん、仕事で困ったときに頼ることができるコミュニティが自然と出来たり、会社からの支援もあるため様々な人に顔を覚えてもらえたりと、ETロボコンを通して多くの副産物があるようです。

また、仕事では、安全、品質、納期、原価の優先順位を守ることが必要とされますが、ETロボコンでは時間をあまり気にせずやりたいだけ突き詰められるため、業務時には考慮すべき制約から解放され、技術と思う存分向き合って、一つのことを突き詰めて活動できるとのことです。

オンラインチーム会議

社員の成長は、会社の大きな成長へとつながる

アドヴィックスは全国制覇4回の強豪で、特にモデル(設計)部門では毎年優秀な成績を収めています。成績の結果はコーポレートサイトのトップページでニュースとして取り上げる等、会社として社員のETロボコン参加を応援する姿が窺えます。ETロボコン参加経験者の採用や、参加者を採用ホームページに掲載する等、採用活動にも活かしているそうです。
アドヴィックスのETロボコンの活動は社内にとどまらず、近隣の学生向けにプログラミング講座を実施しています。そこでは、ETロボコンで得たスキル、ノウハウを活かし、子どもたちの「プログラミング的思考」を育んだり、ものづくりの楽しさを感じたりしてもらえるように、ETロボコン参加者が創意工夫を凝らし、取り組んでいるようです。子どもたちの笑顔や「楽しかった!」という声が原動力となるとともに、その柔軟な発想や取り組み方から気づかされることも多く、ETロボコン参加者にとっても、学びの場になっているそうです。

ETロボコンを通じて社員が成長することは、会社の大きな原動力となっているようです。

近隣小学校でのプログラミング講座

参考リンク

株式会社アドヴィックス コーポレートサイト
http://www.advics.co.jp/

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