【株式会社CIC】若手が挑み、伸びる現場
―ETロボコンを通じたCICエンジニアの成長ストーリー

今回は、ソフトウェア技術と高度な情報セキュリティ分野で国内外に展開している株式会社CICによる2025年の取組みを紹介します。
CICは部署内の新人研修の一環として2022年からETロボコンのエントリークラスに参加しています。社内の前年参加者がサポート役として加わる体制で、教える・教わる双方の経験を通じた若手エンジニアの育成に取り組んでいます。

同社が取り組む教育の循環システムは着実に成果を上げており、
CICのチームは、2023年2024年のエントリークラス大会総合部門で連続優勝を果たし、バーチャル空間での学びにおいて確かな実績を築いてきました。
今回は、その経験を土台にフィジカル空間での学びへと挑戦する姿を探るべく、インタビューを実施しました。

お話を伺ったのは、2024年に新入社員としてシミュレータ部門エントリークラスへ出場し、見事優勝を収めた5名のメンバーです。現在は入社2年目として新人教育を支える立場にある彼らですが、2025年にはその役割を担いながら、実機を扱うフィジカル部門プライマリークラスへ初挑戦しました。サポートと自身の挑戦を両立させる中で得た気づきや成長について、率直に語っていただきました。

ファシリテーター:清澤さん(入社3年目 チームリーダー)
パネリスト:安藤さん(入社5年目 サブリーダー) 、佐野さん、三瓶さん、冨山さん、山内さん(入社2年目)
※本文中では敬称を略させていただきます。

シミュレータ部門エントリークラスの優勝を経て、実機で競うフィジカル部門プライマリークラスへの挑戦

清澤:
2年目の活動、本当にお疲れさまでした。まずは、ETロボコン2025において、皆さんがそれぞれどのような立場でプロジェクトに関わっていたのか、改めてお聞きしたいと思います。今年は、自身の開発に本格的に挑戦しつつ、新人メンバーの指導にも取り組むという、これまでとは異なる役割が求められた一年でした。両立には難しさもあったはずですが、その状況にどのように向き合い、どのような経験を積んできたのかを伺えればと思います。

佐野:
2024年度は入社1年目としてシミュレータ部門エントリークラスに参加し、総合優勝を経験しました。その学びをさらに深めるため、2025年度はフィジカル部門プライマリークラスに挑戦し、同時に新入社員チームのメンターも務めました。 自身の開発と指導の両立は容易ではありませんでしたが、昨年の経験が大きな支えとなり、新人がつまずきやすいポイントや必要なサポートを踏まえて「成長しやすい環境づくり」を意識して関わることができました。 また、指導を通して自分の理解が深まったり、自身の課題に気づけたりと、開発とメンター業務の双方が相乗効果を生み、成長につながった一年だったと感じています。

三瓶:
プライマリークラスへの参加は、1年目の新人研修を終えたばかりの自分にとって、まさに最初の大きな壁であり、エンジニアとして本格的な一歩を踏み出す挑戦でした。これまで机上で学んできた知識を、実際のロボット開発という形で成果に結びつけなければならず、そのプレッシャーは決して小さくありませんでした。 一方で、イベントとしての楽しさや達成感も大きく、試行錯誤を重ねる過程で技術的な理解が深まるだけでなく、チームで協力しながら課題を乗り越える面白さも実感しました。業務として成果を求められる緊張感と、仲間とともに成長していく充実感が共存する、非常に濃い経験だったと思います。

冨山:
1年目に参加したエントリークラスで多くの学びと手応えを得られたことから、さらなる成長を目指して2年目もステップアップとして挑戦しました。今年は設計から実装まで幅広い工程に深く関わり、机上の知識だけでは乗り越えられない組み込み開発ならではの難しさに直面しました。 その一方で、試行錯誤を重ねながら動作が安定していく過程や、チームで課題を解決していくプロセスには大きなやりがいがあり、自分の技術力が確実に前進していることを実感できる一年になりました。

山内:
エントリークラスでの経験を踏まえて設計や実装に取り組んだことで、クラスごとに求められる視点やアプローチの違いを実感しました。特に実機ではシミュレーションでは見えない制約や挙動のクセがあり、それらに合わせて調整や工夫を重ねる必要がありました。思い通りにいかない場面も多くありましたが、原因を探り改善を積み重ねる過程に大きな学びがあり、実機開発ならではの難しさと面白さを体感できる貴重な機会になりました。

安藤:
エントリークラスではコーディングに十分関わることができなかったため、今年は基礎から言語やモデリングを学び直しながらの挑戦となりました。これまで曖昧だった部分を一つひとつ理解し直し、実際の開発に活かしていく過程は決して簡単ではありませんでしたが、その分だけ確かな手応えも得られました。 自分のできることの幅を広げたいという思いが強く、学び直しを通じて新しい技術に触れたり、設計の考え方を深めたりすることで、エンジニアとしての基盤をより固める一年になったと感じています。

ETロボコン優勝で確立された技術力への信頼。宣伝効果とコミュニケーションの広がり

清澤:
今回の活動を通して、ETロボコンが会社に与える影響や、社内外からどのように評価されていると感じましたか。

佐野:
対外的な宣伝効果は、実際に強く感じました。JASA(組込みシステム技術協会)のイベントなどで他社の方や学生さんと交流する際、「昨年のETロボコンで優勝した会社さんですよね」と声をかけられることがあり、ロボコンで実績を残すことで会社名を覚えていただけるのだと実感しました。技術力の高い企業として認知されるきっかけにもなっていると感じます。

清澤:
確かに、初対面の方ともETロボコンの話題が共通言語になりましたね。社内での反響はいかがでしたか。

三瓶:
社内からの反響も大きかったです。普段の業務では関わりのない部署の方からも「今年はどう?」「大会はどうだった?」と声をかけてもらえる機会が増えました。ETロボコンという共通の話題があることで部署を超えたコミュニケーションが生まれ、社内での人脈が広がったと感じています。

佐野:
普段あまり話す機会がない人とも、ETロボコンの話題が出ると自然と盛り上がれますよね。社内コミュニケーションの活性化にも確実につながっていると思います。

ロボットが動いた時の喜びと、新たな課題への挑戦で深まる知識

清澤:
実際にプライマリークラスに参加するにあたり、どのような効果を期待していましたか。また、逆に直面した課題についても教えてください。

冨山:
一番の効果は、「自分が書いたコードで物が動く」という感動をダイレクトに味わえる点です。エントリークラスでは得られなかったフィードバックの速さが、エンジニアとしてのモチベーション向上に直結しました。自分たちのプログラムでロボットが実際に走る姿を見ると、やはり気持ちが高まります

佐野:
実機がなくても、エントリークラスに挑戦する新人チームのメンバーも同じように喜びを感じていました。Gitの操作や環境構築など、プログラミングの初期段階で苦戦していても、画面上のコードが物理的な動きに変わる瞬間に目の色が変わるんです。「もっとこうしたい」という自発的な意欲が自然と湧いてくるのは、この活動ならではの魅力だと思います。

清澤:
では、課題として感じた部分はありましたか。

安藤:
プライマリークラスならではの課題として、技術的なハードルの高さがありました。業務で触れていない技術を一から学び直す必要があり、想定以上に学習コストがかかりましたが、その分知識の幅を広げる良い機会にもなりました。技術力の底上げにつながったと感じています。

三瓶:
時間の確保も大きな課題でした。新人のエントリークラスは研修の一環として業務時間内に活動できますが、2年目でプライマリークラスに挑戦する私たちは基本的に業務外活動です。通常業務との兼ね合いの中で、限られた時間をどう捻出するかを工夫することが、学びの一つになりました。

清澤:
ハードウェア周りの知識不足で、トラブルシューティングに時間がかかった場面もありましたね。

三瓶:
そうですね。Raspberry Piなどのハードウェアに関する知識が不足していたため、実機トラブルの切り分けに時間を要しました。ソフトウェアはログを手がかりに対応できる場面が多い一方で、ハードウェアの知識がないと判断に迷うことも多く、事前準備の重要性を改めて実感しました。

冨山:
特にモーター周りの挙動には苦労しました。私たちの機体は左右のモーター出力に差があり、当初はまっすぐ走らせることすら難しく、「なんて気分屋なロボットなんだ」と思うほどでした。

佐野:
地区大会本番では、「成功率は低いがタイムが速い強攻策」と、「成功率は高いがタイムが遅い安全策」の二つの走行案を準備して臨みました。結果的に強攻策は失敗してしまいましたが、安全策は全ての課題をクリアし、制限時間ギリギリでゴールしました。その瞬間の嬉しさは格別でした。
また、私は当日の走行コースの管理を担当していたので、本番前の動作確認で問題が起きないか不安でしたが、無事に走行できて本当に安心しました。

冨山:
あの時は会場もすごく盛り上がっていましたね(笑)

フラットな体制だからこそ浮き彫りになった、マネジメントの役割と重要性

清澤:
チーム運営やマネジメントの面では、どのようなことを感じましたか。

佐野:
正直なところ、チームマネジメントには課題が残りました。私たちは同期を中心としたメンバー構成だったため、全員がフラットな関係で、役割を明確にしないまま進めてしまいました。「誰かがやるだろう」という阿吽の呼吸に頼ってしまう場面もあり、リーダーの存在や役割分担の重要性を強く実感しました。

三瓶:
タスクの切り出しや割り振りが曖昧になりがちでしたね。「言わなくても伝わっているだろう」という思い込みから、認識のズレが生まれることもありました。

佐野:
誰がどのタスクに責任を持つのか、誰が決定権を持つのかを明確にしないまま進めてしまったことで、スケジュール管理やタスク消化がスムーズにいかない場面もありました。メンバー同士の心理的距離が近いことと、チームとして機能することは別だということを学びました。

清澤:
技術力だけでなく、プロジェクト全体を見渡しながら進める力の重要性を認識するきっかけになったわけですね。

佐野:
はい。普段の業務ではプレイヤーとして動くことが多いのですが、今回は自分たちでプロジェクト全体を管理する経験をしました。その中で、マネジメントの視点やスキルの必要性を痛感し、今後に向けた明確な課題を得ることができました。

社会人として仕事にも活きる力が育った実践の場

清澤:
そうした困難を乗り越えたことで、個人としてどのような成長がありましたか。テクニカルなスキル以外で、何か変化を感じた点があれば教えてください。

佐野:
私は「成果物ベースで議論する力」の重要性に気づきました。開発中、頭の中のイメージを口頭だけで伝えても、相手に正確には伝わらないことが多くありました。図にする、モデル図に落とし込む、動くものを見せるなど、目に見える形にして議論することで初めて認識が揃うと実感しました。この言語化・可視化の意識は、現在の業務でも非常に役立っています。

冨山:
私は「人に頼る力」と「責任範囲の明確化」です。これまでは自分のタスクを一人で抱え込みがちでしたが、チーム開発では得意な人に任せたり、早めに相談したりすることが全体最適につながると学びました。また、自分がどこまで責任を持つのかを明確にして取り組むことの大切さも実感しました。

安藤:
メンバー全員の積極性が向上したと感じています。以前は会議でも受け身な姿勢が見られましたが、ETロボコンへの挑戦を経てからは、業務外の活動や社内イベントに対しても「やってみよう」と手を挙げるハードルが下がった印象です。

佐野:
新人指導を通しても多くの学びがありました。技術力や経験の差がある中で、どうすればチーム全体の力を底上げできるかを試行錯誤する中で、さまざまな気づきを得ました。単に答えを教えるのではなく、彼らが自走できるように支える難しさと、その分のやりがいを強く感じました。

今年の学びを、来年の成長へ―次なる目標と新たな挑戦

清澤:
最後に、来年のETロボコンに向けての抱負や、改善したいポイントを教えてください。

佐野:
まずは技術的な前提知識を早めに身につけておきたいです。今年は大会期間中にUMLやC++、開発環境構築などの学習に多くの時間を割く必要がありました。来年はシーズン前に基礎を固めておくことで、本番期間中は戦略立案や実装に集中できるようにしたいと考えています。

三瓶:
私は、上位チームとの差を埋めるために、より高度な技術に挑戦したいです。特に、今年の上位チームが活用していたカメラによる画像処理はぜひ取り入れたいですね。制御の幅を広げて、来年こそはプライマリークラスで結果を残したいと思っています。

安藤:
チーム運営の面では、今回の反省を踏まえてマネジメント体制をしっかり整えたいです。リーダーを明確にし、タスクを細分化し、進捗を可視化する。当たり前のプロジェクト管理を徹底することで、開発効率をさらに高めていきたいと考えています。

清澤:
皆さん、ありがとうございました。 ETロボコンは楽しさだけでなく、難しさや悔しさも含めて多くの学びを得られる場だと改めて感じました。技術力はもちろん、チームワークやマネジメントを実践的に学べたこの経験は、今後の業務においても大きな財産になるはずです。これからの活躍を楽しみにしています。本日はありがとうございました。

一同: ありがとうございました。



エントリークラスでの優勝を経て、さらなる学びのステージとしてプライマリークラスに挑戦したCICチーム。日々の研究と試行錯誤を重ねながら着実に成長してきた彼らは、今回のプライマリークラスでも確かな前進を遂げました。新人チームの育成に携わりつつ、一つひとつの課題に真摯に向き合う姿勢は、技術面だけでなくチーム運営の面でも大きな力となり、組織全体のスキル向上にもつながっています。 来年度のETロボコンに向けて掲げた新たな目標に向かい、彼らがどのような挑戦と成長を重ねていくのか。今後の活躍がますます楽しみです。


参考リンク

株式会社CIC

株式会社CIC
ソフトウェア開発と情報セキュリティサービスの株式会社CIC(旧社名:株式会社セントラル情報センター)

過去の記事
  • 2023年【株式会社CIC】若手エンジニアの育成にロボコンを活用し続ける理由とは
    https://www.etrobo.jp/cic2023/
  • 2024年【株式会社CIC】循環型人材育成を採用するCIC チームリーダーが語るETロボコンエントリークラス全国制覇への道
    https://www.etrobo.jp/cic2024/
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