【株式会社豊田自動織機ITソリューションズ】
若手の挑戦がチャンピオンシップ大会優勝へ。
自律したエンジニアへの成長を応援する環境

今回ご紹介する企業は、産業車両や自動車関連製品だけでなく幅広い分野でグローバルに事業を展開する株式会社豊田自動織機のIT機能を担う株式会社豊田自動織機ITソリューションズです。
ETロボコンへの挑戦2年目を迎えた2025年、見事チャンピオンシップ大会で競技部門優勝とIPA賞のW受賞を成し遂げました。
同社が人材育成の柱に掲げるのは「若手の早期戦力化」です。ゼロからのモノづくり体験を育成の核とし、「一からソフトウェアを作り上げる経験を積ませたい」という想いを持って取り組んできました。この育成アプローチは、実践を通じた成長を促すETロボコンの理念とも強く合致しています。
注目すべきはメンバーの選抜です。参加者として選ばれたのは、「キャリア3年」の開発メンバーたちでした。あえてこの層を抜擢した意図とは何だったのか。そして、チーム開発の中で彼らはどう変化したのか——その真髄に迫ります。

トヨタ生産方式の実践から学ぶ、自ら考え、挑戦し続けるエンジニアの育成

豊田自動織機ITソリューションズは、製造現場を支えるITインフラ構築や、車両等の製品制御を司る組込みソフトウェア開発をはじめ、物流・製造業に特化したシステムを提供し、ITの力でものづくりの現場を支え続けています。
豊田自動織機グループとして培ってきた現場のノウハウに加え、「トヨタ生産方式」に基づく品質と効率の追及を強みとし、ITコンサルティングから構築・開発・運用までを一貫して手掛けられる点が大きな特徴です。

同社では「自ら考えて課題を解決できるエンジニアの育成」と「挑戦する風土の醸成」を目指し、2024年よりETロボコンへの参戦を開始しました。チームでの緊密なコミュニケーションと実践力が求められる本大会を通じ、開発キャリア3年という成長著しい時期にある若手社員がゼロから課題に挑戦。技術力の向上はもちろん、主体性や協働力を養う絶好の育成機会となっています。

若手の主体性を引き出す挑戦の場を求め、迷いなく決断したETロボコンへの参加

豊田自動織機の完全子会社として安定した事業環境を持つ一方、若手社員が日常業務の枠を超えて視野を広げ、新たな挑戦へと踏み出す機会が限られている点が課題となっていました。 急速な技術革新の中、期待に応え続けるには、若手自身が自ら考えて動く「主体性」が不可欠です。「ETロボコンへの挑戦こそが、若手の更なる成長につながる」と確信した役職者の判断により、参戦が即決されました。 参戦にあたっては、狙いを以下の3点に集約しています。

  1. 「まずはやってみる」姿勢への意識改革
  2. チームで一つの製品を作り上げる中で深める一体感
  3. 社外へと飛び出し、自らの実力を試す風土づくり

プロジェクト型学習(PBL)の効果を最大化するため、参加メンバーには「3年の現場経験を経て確かな力を蓄えた」社員を抜擢。自律的に課題を解決できるエンジニアを早期に育成するとともに、新技術への対応や新たな価値創出への挑戦を強力に後押ししています。


自律したエンジニアへの成長につながる、技術力だけでない経験

「人材育成×ETロボコン」における3つの大きなメリット

  1. ゼロからの開発体験で養う「全体構造を見通す総合技術力」(テクニカルスキル)

現在の実務は分業化が進み、既存コードの改修など「派生開発」が中心となりがちです。しかし、高品質な設計を行うにはシステム全体の構造を深く理解する視点が欠かせません。ETロボコンでは、要求分析からモデリング、コーディング、実機テストまでを一気通貫で「ゼロから創り上げる」ため、実務だけでは得にくい体系的な開発プロセスと、全体を捉える総合的な技術力が身につきます。

  1. 曖昧なアイデアを可視化する「モデルを描き切る設計スキル」(論理的思考力)

システムの複雑化が進む現在、行き当たりばったりのプログラミングは失敗の要因となります。ETロボコンでは、システムの「設計図」となるUML等を用いたモデリングが厳しく審査されます。アイデアをモデルとして可視化し、チームで共有・検証しながら論理的に設計を進める経験は、エンジニアとしての確かな強みとなります。

  1. 社外での切磋琢磨がもたらす「視野拡大と自律的な問題解決力」(主体性・PBL)

安定した社内環境を飛び出し、他社チームと競い合うことで技術に対する視野が大きく広がります。正解のない課題に対してチームで試行錯誤を重ねるプロジェクト型学習(PBL)は、自律型エンジニアへ成長するためのカギです。指示を待つのではなく「自ら考えて周囲と協力し、課題を突破する」主体性が自然と育まれます。

若手の自律とチームの挑戦が、組織の新たな風土を育む

本取り組みを通じて得られた最も大きな成果は、若手メンバーの当事者意識と問題解決能力の飛躍的な向上です。

初挑戦となった2024年度のチャンピオンシップ大会で総合5位という好成績を収めると、翌2025年度には同大会の競技部門で見事「全国優勝」の快挙を達成しました。
この偉業を支えたのは、メンバー自身が高度な技術と丁寧に向き合い、試行錯誤を重ねた日々の積み重ねです。カメラ制御による障害物回避やライントレース走行など、仮説と検証を繰り返しながら粘り強くアルゴリズムを作り上げた経験が、彼らに「受動的ではなく、自律的に技術的難題を突破する強さ」をもたらしました。

また、培われたのはテクニカルスキルにとどまりません。期日に合わせたスケジュール管理や活発な意見交換、チームのモチベーション向上などを主体的に行い、プロジェクトを最後までやり遂げました。技術力と同時に、プロジェクトマネジメント力や協働する力も自然と育まれたのです。

自ら考え抜き、仲間と力を合わせて掴み取ったこの成功体験は、メンバー個人の大きな自信となっただけでなく、組織全体に「挑戦する風土」を波及させる力強い推進力となっています。


技術への挑戦が、仲間を動かす。挑戦から生まれた、技術と組織の成長

大会への挑戦は、技術力の向上にとどまらず、実務に直結する課題解決力を育む絶好の機会となりました。その象徴と言えるのが「開発環境の構築」という壁に若手メンバー自らが向き合い、乗り越えた経験です。

活動初期には、シミュレータの動作不具合やRaspberry Pi実機のセットアップ、さらには社内ネットワークのセキュリティ制約など、開発をスタートさせる段階からいくつもの課題が立ちはだかりました。
若手メンバーは解決に向けて自ら関係部門と粘り強く連携を図り、開発環境を根気強く整えていったのです。このプロセスを通じ、実務で生きるトラブルシューティング能力はもちろん、必要な環境を自ら構築し、周囲を巻き込みながら課題を解決していく力を身につけました。

また、社内への積極的な情報発信は、チームにとって大きな後押しとなる「巻き込み効果」を生み出しました。活動状況を社内Slack等でこまめに共有したところ、チーム外のエンジニアからアドバイスや応援が届くようになり、気が付くと部門の垣根を越えた技術交流が始まっていました。さらに、チャンピオンシップ大会優勝のニュースは全社を大きく活気づけ、「自分たちも新しい技術へ挑戦しよう」という前向きな刺激を組織全体へ波及させる最高の契機となりました。

ロボットを通じて次世代に伝える、技術の面白さとものづくりの魅力

ETロボコンで培った技術と経験は、自社の成長にとどまらず、社外への技術発信や地域貢献という新たな価値を生み出しています。

従来の組込み開発部署は、取り扱う情報の機密性の高さから、自社の技術力を外部へ紹介する機会が限られていました。しかし、ETロボコンでの受賞をきっかけに技術をオープンに発信できる場が生まれ、現在では中学生向け職場体験プログラムの中でも本活動や技術デモを積極的に紹介しています。

職場体験では、ロボットがラインに沿って滑らかに走行する姿や、カラーセンサーで色を識別して制御を切り替える様子を実演。プログラムによってモノが正確に動き、環境の変化に応じて自律的に動作を変える組込み技術の魅力を、身近に体感してもらっています。

普段の生活では目にする機会の少ない組込み技術だからこそ、実際に目の前でロボットが動く感動を通じて、その仕組みや面白さをダイレクトに伝えたい——。こうした体験を通じ、子どもたちがITやモノづくりに興味を持ち、将来の技術者としての姿を思い描くきっかけとなるよう、次世代へモノづくりの楽しさを紡いでいきます。



豊田自動織機ITソリューションズでは、初期教育にとどまらず、若手社員の自律的な成長を促す実践的な機会を提供し続けています。
ETロボコンへの参加は、まさにその姿勢を体現した取り組みです。若手エンジニアが主体となって課題解決・モデリング・一気通貫の開発に挑むことで、全国優勝という成果のみならず、社内における挑戦風土の醸成や、中学生向け職場体験をはじめとする地域社会への還元といった多面的な価値を生み出しました。
挑戦を推奨しバックアップする環境のもと、同社は今後も自律型エンジニアの育成と、IT・ものづくりを通じた社会貢献への歩みを続けていきます。


参考リンク

株式会社豊田自動織機ITソリューションズ

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