【株式会社エクスモーション】研修を実務へつなげる
成長を支えるエクスモーションのエンジニア育成

今回は、組込みソフトウェア開発における設計技術と品質向上の分野で活躍する株式会社エクスモーションの取り組みをご紹介します。 エクスモーションは、組込みソフトウェアに特化したコンサルティングや教育・研修を通じて、ものづくり企業の開発力強化と品質向上を支援している企業です。 同社は ETロボコンの全国ゴールドスポンサーとして大会を支援する一方、社内人材育成の一環としてチーム参加にも積極的に取り組んでいます。
2025年度の新人研修では、文系出身の新入社員が一人で開発の全工程を担うという新たな体制に挑戦しました。 初挑戦ながら、地区大会モデル審査部門で最優秀賞(ゴールドモデル)を獲得するまでに至った試行錯誤と成長、そしてその挑戦を支えた社内の応援や協力について、お話をうかがいました。

成長の原点となったチャンピオンシップ大会での走行

私が初めてETロボコンに触れたのは、内定者研修の一環として全国大会を見学したときのことでした。会場はパシフィコ横浜で、数多くのチームが出場する中、特に強く印象に残っているのが沖縄代表チームの走行です。

たった一人で全国大会に出場していること自体にも驚きましたが、スタート直後の直線コースでは、隣のチームを圧倒するスピードを見せ、その走りは鮮明に記憶に残っています。
そして翌年、私は新入社員研修の一環として、自らETロボコンに挑戦することになりました。あのとき観客席から見た走行が、今度は自分自身の目標へと変わった瞬間でもありました

実践が力を育て、挑戦が成果を生む――受賞へとつながった成長の軌跡

私が所属するエクスモーションの新人教育では、配属前に実践力を身につけるための重要なステップとしてETロボコンへの参加を位置づけています。 社会人基礎教育、技術者基礎教育、そして専門的なエクスモーション基礎教育──そのすべての成果を集約する“総仕上げのプロジェクト”です。
研修で新人は、要求分析・設計・実装・テストといったソフトウェア開発の全工程を自ら経験し、企画から検証までの開発サイクルを複数回まわします。 一連の工程を自分の手でやり切ることで、開発の全体像を理解し、改善の視点を持ちながら進める力が養われます。

私自身、テスト走行までの工程を繰り返す中で、PDCA(計画・実行・評価・改善)を意識して取り組むことの重要性を強く実感しました。 特に、要求分析や設計といった上流工程での判断が、実装後の品質にどれほど影響するのかを身をもって理解できたことは大きな学びでした。
その成果は、東京・北関東地区大会のモデル部門でゴールドモデル受賞という形で結実しました。 これまで積み重ねてきた取り組みが、一定の品質に到達したことを証明できたと感じています。

自ら考え、形にし、伝える―エンジニアの土台を築く研修

エクスモーションでは、先輩社員が過去に作成したモデルやコードに頼らず、新人が自ら考えて構築することを重視した育成方針を採用しています。 一から自分の頭でモデルを描き、なぜその設計を選択したのかを自分の言葉で説明することが求められました。 これは、正解が一つではない複雑なソフトウェア開発の世界において、情報を整理し、論理的な根拠に基づいて判断するという、エンジニアとして最も重要な土台を築く経験となりました。 「答えのない世界で考え抜く力」を育むという研修の意図を、まさに肌で感じることができました。

また、開発の中で取り組んだ技術的な課題や解決プロセスは、技術メモとして記録し資料化するよう徹底して指導されていました。 情報を整理し書き残すことで、課題を解決するだけでなく、そのノウハウを形式知として蓄積し、後の人へ伝えるドキュメンテーションスキルが磨かれました。 組織に共有できる知見を残すという点でも、非常に貴重な経験になったと感じています。

一方で、常に課題となったのは、限られた体制での作業量とスケジュール調整でした。 新人である私がプロジェクト全体を一貫して担う体制の中で、幅広い工程に主体的に関わる必要がありました。 開発・設計タスクを担当することで作業量は多く、時間の制約もありましたが、その分、業務全体を俯瞰しながら計画的に進める力を養う機会にもなりました。

新人の挑戦を組織の力へ

東京・北関東地区大会の約2か月前となる6月下旬から活動を開始し、その期間は業務時間のほぼすべてを開発に集中して取り組みました。 2025年度の体制は少し特別で、文系出身の新人である私が1人で開発を担当するという、珍しい形だったと思います。 プロジェクトの計画づくりから設計、実装、テストまで、開発に関わる全工程を一貫して担いました。

もっとも、会社としてしっかりとサポート体制を整えてくれており、常に周囲の支援を受けながら進めることができました。 教育担当の社員が1名つき、作成したモデルやコードを何度もレビューし、客観的な視点から品質を確認してくれました。 さらに、昨年度のETロボコンを経験した先輩社員2名が、技術面・精神面の相談役として伴走してくれていました。 開発場所は社内のオープンスペースだったため、通りかかった別の社員からアドバイスをもらうこともあり、会社全体でこの活動を支えてくれていたと感じています。

一人で迅速に方針を決定できる点は大きな強みでしたが、他者の視点を取り入れて設計を深める機会が限られるため、多角的な議論を行う難しさもありました。 また、作業量をすべて一人で担う必要があったため、コース上に設置されている高難度のチャレンジパートについては、十分に作り込むまでには至りませんでした。
しかし、この経験を通じて、限られた時間とリソースの中で優先順位を考え、現実的な判断を下す力の重要性を学ぶことができました。 今後は、こうした気づきを活かし、設計の質をさらに高めていきたいと考えています。

挑戦が教えてくれた、強みの発見と成長のエンジン

ETロボコンへの挑戦は、新人の私にとって、技術を学ぶ場であると同時に、「自分の特性」や「働き方の癖」に気づく貴重な機会になりました。
特にモデル審査では、日常業務では見えにくかった自分の強みを発見できたことが、大きな収穫でした。
ETロボコンの評価軸のひとつに「モデリング(設計技法)」があり、自分たちの戦略をソフトウェアとして表現する、まさに開発の礎となる取り組みが求められます。
通常の業務では、評価する相手は社内の上司や先輩であり、制作物だけでなく取り組みの過程や姿勢も含めて評価されることがほとんどです。

一方、ETロボコンでは、審査員と呼ばれる業界の設計者が評価を行いますが、交流できる時間は限られています。
私の場合、評価する相手の情報が十分に分からない環境だったからこそ、「どのような点が評価されるのか」「何を届ければ驚いてもらえるのか」を想像しながら構想を膨らませ続けました。
その“内側から湧き上がる推進力”によって、当初は実現が難しいと思っていたレベルの成果物を完成させることができました。

振り返ると、私を突き動かしていたのは「相手を驚かせたい」「良いものを届けたい」という思いでした。
相手の視点や期待を想像しながらつくることこそが、自分のものづくりの原動力になっていたのだと気づきました。この気づきは、業務にも活かされています。
社内の全社員が参加する会議でプレゼンを任された際、あえて一人で準備し、ETロボコンで得た“内圧”を意識して取り組みました。
緊張しながらもこだわって作り上げた発表は好評で、“自分のアウトプットで場を湧かせた”という大きな自信につながりました。

ETロボコンは、新人の私が「自分の力の出し方」を学ぶ場であり、そこで得たエネルギーの活かし方は、今も成長を支える大切な土台になっています。

挑戦の継承が組織を強くする――ETロボコン経験者が支える次世代育成

エクスモーションでは、前年にETロボコンへ参加した先輩社員が、翌年度は新人の相談役として支援にあたる体制が整えられています。私自身も、その支援を受けた一人です。 先輩は技術的な質問に答えてくれるだけでなく、開発の節目ごとに「何がうまくいったのか」「次に改善できる点は何か」を一緒に振り返る時間を設けてくれました。これは、作業を進めるだけでなく、経験を学びに変えるための大切な取り組みでした。

また、この「教える」「支える」という役割を通じて、先輩自身もコミュニケーション力や論理的思考力、チームを導く力を磨き、成長していることを知りました。 経験者が後輩を支え、その後輩が次の世代へと役割を引き継いでいく──この好循環によって、ETロボコンで培われた力は個人の成長にとどまらず、組織全体の力へと広がっていきます。 私も将来は、先輩方のように後輩を支える存在になりたいと強く感じています。
さらに、ETロボコンで身につけた「モデリング」というスキルは、ソフトウェア開発という専門領域にとどまらず、仕事全般に応用できる基礎的な力だと感じています。 モデリングとは、複雑な現実や考えを、構造や振る舞いといった複数の視点から分解し、整理する力のことです。

私はこのスキルが実務で活用されている場面を、社外のお客様とのプロジェクトを通じて多く目にしてきました。 先輩方は、お客様の曖昧な要望や課題をモデリングの視点で整理し、図や構造として分かりやすく可視化しています。 その結果、お客様自身も気づいていなかった本質的な課題が明確になることも少なくありません。

この力は、要件整理に限らず、思考を整えたり、難しい技術内容を論理的かつ分かりやすく説明したりするなど、エンジニアとしてのさまざまな場面で発揮されています。 ETロボコンで培われた多角的な視点と整理力が、先輩方のキャリアを支える重要な柱になっていることを、私自身の経験と重ね合わせながら実感しています。



ETロボコンは、単なる新人研修の一環ではなく、エクスモーションが大切にしている“考える力”と“つくる力”を実践の中で磨く場となっているようです。 新人であっても企画から設計・実装・検証までを自分の手で担い、先輩たちの伴走を受けながら挑戦を積み重ねていく──その経験が、エンジニアとしての土台を確かに形づくっていました。
そして、そこで得た学びや視点は、個人の成長にとどまらず、次の世代へと受け継がれていきます。 先輩が後輩を支え、またその後輩が次の世代を導いていく。 この循環こそが、エクスモーションの強さであり、ETロボコンが果たしている大きな役割だと思います。


参考リンク

株式会社エクスモーション

株式会社エクスモーション|企業サイト
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