ETロボコン2006競技規約

ET ソフトウェアデザインロボコン競技規約 Ver.7.7

[PDF版]

ET ソフトウェアデザインロボットコンテスト

競技規約

2006 年度 7.7 版

本書は、ET ソフトウェアデザインロボットコンテスト(略称:ET ロボコン)の競技規約書です。本競技は、リアルタイム組込みソフトの開発技術者にUML などによる組込み開発技術の初等的な学習、本格的な応用への手引き提供を目的として実施します。本競技の開催には先進的な技術者諸氏の協力をいただきました。心から感謝します。

2006 年5 月15 日

ET ロボコン技術委員長 大庭 慎一郎

競技種目と審査項目

ET ロボコン2006 では、ショートディスタンス(以下ショート)1 種目のみを競技として実施します。競技の審査項目は、タイムとモデリングの2 項目です。

タイム

ショートでは、アウトコースとインコースをそれぞれ2周したタイムの合計を競います。タイムは後述の走行タイムとボーナスタイムにより決定されます。タイムのより少ないほうが上位になります。

モデリング

ショートの完走を要求としたロボットの設計モデルの優劣を競います。競技前日までに審査が行われ、競技当日にその結果と共に全モデルが掲示されます。審査基準や審査方法は別途審査委員会から呈示される内容をご参照下さい。提出内容については、別途運営委員会から呈示される内容をご参照ください。

表彰

タイムは合計の少ない上位3 チームが表彰の対象となります。モデリングは提出された全モデルを通じてエクセレント、ゴールド、シルバー表彰を行います。さらに特別賞として、走行パフォーマンスに優れたチームや印象に残ったチームが数チーム表彰されます。

ショート競技

ショート競技は、黒線で描かれたレーンをリアルタイムで検出しながら走行するライントラッキングレースです。コース周回の走行時間が短いほうを優位と判定します。トラックには、レーンが2 本引かれます。2 回の走行(1 回はアウトコース、もう1 回はインコース)を行い、双方のタイムの合計で競います。走行はそれぞれ2 周です。

ショート競技の流れ

ショート競技は、試走・調整、車検、レース本番(各チーム2 回ずつ)、表彰の順に行われます。

試走・調整

レース本番前に、会場のコンディション確認や最終調整を行う時間が設けられます。

車検

審判は、事務局メカニックチームに走行体に準備を命じます。ここで、メカニックチームは、電池の搭載、メカの正常性チェックを行います。この時点では、競技用のプログラムがロード済みになっていることとします。この車検は、レース本番開始の直前に行われます。競技者は車検の呼び出しに応じられるように待機していてください。

レース本番

出走順序順に以下のシーケンスでレースが行われます。

  1. 次レースの競技者はアウトコース、インコースのそれぞれのスタート位置につきます。必要に応じて光センサーのキャリブレーションを行うことができます。キャリブレーションの時間は1 分間以上とれるようにします。

  2. 審判の合図によって、競技者はスタートボタンを押し走行体を走らせます。同時に審判は時間の計測を開始します。スタートは以下の手順に従います。

    0) 競技者は、スタートエリアに来る。必要に応じてキャリブレーションを行う。

    1) 審判は、キャリブレーションを済ませたことを競技者から確認する。

    2) 審判は、Go to the start と言う。これでスタートラインに走行体を置く。

    ここで光センサーの位置は黒線の上でも外でも競技者の任意です。

    ステアリングの角度も任意です。

    3) 審判は、Ready と言う。これで競技者と走行体が静止するのを確認する。

    4) 審判は、出発合図(ピストル、笛など)を出す。

    走行体は、この合図と同時にスタートラインを横切って走行を開始しても良いものとします。

    走行を開始させるためには、RCX のrun ボタンを押す、あるいは、run ボタンを押した後にタッチセンサーをスタートボタンとみなして押すなど任意の手順を実行して構いません。

  3. 走行体は、自律的にコースを走行します。この間、競技者は物理的な方法によって走行体へエネルギー、力、情報などを与えてはなりません。

  4. ゴール到達前に後述の失格条項に該当する事態が発生した場合には、その走行を中止します。

  5. ゴールへ到達した場合に審判は完走を宣言します。競技者はすみやかに走行体を回収し、機能を停止させます。

  6. ゴール後、審判は計測した時間をすみやかに公示するものとします。

出走順序

出走順序は抽選となります。抽選は、出走順序を何人も恣意的に制御できないような方法によって公正に行うものとします。

順位決定

順位は、2 回の走行のタイム順とします(計算方法は後述)。3 番までの競技者で同一時間になった場合は、順位決定のために再競技を行います。このときは、再競技の時間の短い方を上位とします。ただし、その時間は本競技の結果には反映されません。

失格の判定

審判は、以下の状況が生じたとき、あるいは走行体が異常な状態にあると判断した時点でその計時を中断し競技者に失格を宣言できます。失格になった競技者に対しては、その理由が示されます。異議のある場合には、全競技者の走行が終了する前に審判にその意思を伝えることが必要です。審判が異議の提示を妥当と判断した場合には、その内容の検討と競技やり直しなどの対応がなされます。

  1. 出走時点で走行体の準備が完了していないと審判が判断したとき

  2. 走行体が停車し、審判が再走行の見込みがないと判断したとき

  3. 走行体がレーンからはずれて迷走を開始したと審判が判断したとき

  4. 走行体が転倒もしくは転落したとき

  5. 競技前に定めた制限時間がすぎたとき

  6. その他、審判がその競技者の参加方法、プログラム作成などに不当性を見出したとき

トラックの構造

材質と寸法

トラックはセーレン社(http://www.seiren.com/)の「Viscotecs」と呼ばれる技術で作成されます。織種類はマットになります。イメージとしては模様入りの厚手の布のようなものです。サイズは546cm × 364cm で、同サイズの土台の上に敷かれます。

トラックの全体図

レーンはイン、アウト2 本引いてあり、イン・アウト相互の交差はありません。ショート競技ではインとアウトの両方で走行します。両コースの同時スタートを円滑に行うために、インとアウトのスタート点はずらしています。また、トラック内には計時班の常駐ブースがあります。ここは、スチロール板のない穴になっています。

メインレーンと分岐する形で「難所」と呼ばれるチャレンジレーンがあります。アウトコースには「点線ショートカット」、インコースには「Z クランク」が設置されています。また、ゴールゲート付近には高さ10cm 以下の勾配である「坂道」があります。

レーンは白い下地の上に黒い線として描かれ、それぞれの色は24bit RGB 値で #FFFFFF、#000000 です。レーンの幅は30mm で、アウトコースとインコースの最小間隔は140mm です。カーブ部分の最小半径はカーブ内側のエッジで30cm です。レーンの道のりは約20m です。

マーカー

難所や坂道の出入口には「マーカー」と呼ばれる灰色のポイントが設置されます。色は24bitRGB 値で #888888 です。長さは、難所では出入口とも 20cm(メインレーンとの分岐前後でそれぞれ 15cm、5cm) で、坂道では入口が 15cm、出口が 10cm です。

難所

アウトコースの難所である「点線ショートカット」は、間隔30mm の点線コースです。2005 年までの同難所より点線の間隔が大きくなっています。レーン幅が 30mm なので、ちょうど 30mm 四方の四角を連ねたような形になっています。

この難所をスムーズに通過することで、走行タイムの短縮を狙えます。

点線ショートカットの拡大図

インコースの難所である「Z クランク」は、今年から導入された新しい難所です。ちょうどZ の字を反転させた形をしています。この難所に限っては最小半径の規定は適用されておらず、鋭角なクランクとなっています。

この難所を無事通過するとボーナスタイム(後述)がもらえます。また、おそらく会場全体の注目を浴びることになるでしょう。

Z クランクの拡大図

難所はアウトコースでは外側のエッジに、インコースでは内側のエッジの設置されています。難所に挑戦したくない場合は、難所が設置されていないほうのエッジを「エッジ検出走行」すれば回避できるようになっています。もちろん、マーカーを検知して回避することもできます。

坂道

最終コーナーからゴールゲートまでの区間に山形の勾配を設けます。これと「坂道」と呼びます。上り勾配は約4%、下り勾配は約2%です。上りの開始点と下りの終了点にそれぞれ長さの違うマーカーが置かれているので、うまく検知すればスピード制御に利用することができます。

装飾

難所含むレーンの周囲140mm の部分は白い下地になっていますが、それ以外の部分に関しては模様や装飾が施されます。例えば、ヘアピンカーブの内部には丘などの造形が置かれます。レーンからのコースアウトが著しい場合には、この芝生や丘に乗り上げることが予想されます。自力復帰をできる場合には芝を乗り越えて近道をすることも可ですが、望みは薄いでしょう。

タイム

走行タイムとボーナスタイム

タイムは「走行タイム」と「ボーナスタイム」から算出されます。走行タイムはアウトコースとインコースをそれぞれ2 周ずつ走行した計測タイムの合計で計算されます。タイム計測精度は、1/10 秒です(1/100 秒以下は切り捨て)。計時作業は訓練を積んだオペレータが担当します。完走できなかった(途中リタイア or 制限時間の2 分を超えた)コースの走行タイムは2 分00 秒として計算されます。これを「リタイアタイム」と呼びます。

最終的な審査対象は、走行タイムから「ボーナスタイム」と呼ばれる値を減算したタイム「リザルトタイム」になります。ボーナスタイムは以下の表で定義されます。

表 1 ボーナスタイム設定
ボーナス対象 ボーナスタイム
中間ゲート通過 5 秒
ゴールゲート通過 *1 5 秒
Z クランク走破 10 秒
ゴール後停止 *2 5 秒
*1 スタート直後のゴールゲート通過は対象外
*2 コースを2周してゴールした後に、ゴールゲート以降50cm 以内のコース上で停止できた場合

各ボーナスタイムはコースを完走しなくても取得することができます。例えば1周目の中間ゲート通過後にリタイアしてしまった場合、リタイアタイムから5 秒を減算した1 分55 秒が、そのコースのリザルトタイムになります普通に2周完走できた場合には、中間ゲートとゴールゲートをそれぞれ2回通過していることになりますので、コースの走行タイムから合計20 秒のボーナスタイムを減算したタイムが、そのコースのリザルトタイムになります。

インコースの場合、最大45 秒(中間ゲート、ゴールゲート、オフロードをそれぞれ2回通過し、ゴール後停止)のボーナスタイム取得できることになり、リザルトタイムが0 やマイナスになる可能性がありますが、そのまま結果として利用します。

周回の判定

ショートでは、スタート後トラック内に引かれたレーンを追尾しながら中間ゲートを通過、ゴールゲートを通過するまでの時間を競います。走行体は、必ずしもレーンに沿って走る必要はありません。走路妨害など失格要件に抵触しない範囲であれば、レーンの外を走り中間ゲートを規定方向から通過し、次にゴールゲートを通過すれば1 周したものとみなされます。

走行体の規定

走行体は、LEGO® MINDSTORMS TMで組み上げられています。全ての競技について走行体は、競技者が持参することとします。その仕様詳細は、開発環境データにて配布されるPathFinder に従ってください。ドライブ部、ステアリング部の基本構造は、このデータに従うこととします。ただし、光センサーとタッチセンサーの配置、配線は競技者が変更できます。

部品の追加

走行体の装飾を目的としたRCX 上への若干の部品追加は可能とします。例えば、Lego のミニフィグ(人形)をドライバーとして載せる、旗を立てるなどです。ただし、走行性能や機体サイズが著しく変化する部品の追加は禁止します。

Lego 以外の部品搭載の例外として、光センサーまわりの遮光スカートの装着が許されます。このスカートは、他競技者の走路妨害にならない範囲で、競技者が製作できます。ただし、材料はラシャ紙などを使用してください。

剛性や機械・電気的性能の強化

走行体の保守性と走行時の剛性を高めるために、部品接合部に接着剤などを用いることは構いません。ただし、コースを汚す可能性がある素材の使用は禁止します。

その他、モーターやセンサー、RCX の分解・改造は禁止します。また、コースを汚す可能性のある行為(グリスアップなど)も禁止します。

電池

競技当日に運営委員会よりショート競技用の電池が1 セット(6 本)提供されます。他の種類の電池や複数セットの利用は禁止します。

ソフトウェア

本競技では、以下のものをソフトウェアと呼びます。

  1. 参加者が開発したプログラムに対応するモデル

  2. 制御概要書、クラス図、ステートチャートなどのモデルをもとに競技者が作成したプログラムのソースコード、ビルド情報

  3. 事務局が用意したメカニズムライブラリとその仕様、利用方法のドキュメント

モデルから作成したプログラムについては、以下の規則に従って作成されることとします。

  1. C、C++、Java 言語等、参加者全員が利用可能な言語でコーディングされていること

  2. ハードウェアIO は、事務局の用意したメカニズムライブラリを介して実現すること

  3. MDD(Model Driven Development)の技術を利用する場合には、その環境をドキュメントに記述すること

以上